〈一読総合法〉
の前に
〈三読法〉とは?
今まで多くの教室で行われた国語の授業は〈三読法〉と言います。「最初に全文章を通読し、初発の感想をもとに精細に読み、味読して終える」というのがそれです。(最近では、「詳細な読みに偏りすぎたので、あらすじをとらえるだけで十分」として、精細な読みもされていません。)
この読み方だと、結末を知らせてから、もう一度始めから読み返させることになります。結末を知るということは、第一読の持つ緊張感を失わせ、読みの関心をも半減させてしまいます。
だから今までの国語の時間は、つまらなかったんです。
〈一読総合法〉
とは?
ふつう私たちが本を読むときは、冒頭部分から詳しく読んでいきます。もう一度じっくり読み返すことを想定して、読むなんてことはありません。
推理小説で、犯人が分かってしまったのに、最初のページから詳しく読み直しても、一読目のときのような楽しさは得られないでしょう。
読書の楽しみは、じっくりと読み進めながら、すでに読んだ部分と今読んでいる部分を関係付けし、先の予測も立てつつ総合的に読み進めていくところにあると思います。その関係づけから新しい認識が芽生えたときの喜びが読書の醍醐味です。
子どもたちみんなにそんな喜びを味わわせ、一語一文に鋭く反応する力をつけさせるために考え出された読みの授業スタイルが〈一読総合法〉です。ですから、一読総合法では、通読をしません。
〈一読総合法〉の 名前の由来
つまり、〈一読総合法〉の授業では、児童・生徒はその時間にはじめて目にした文章について、すでに読み取った部分と関係づけながら、要所要所で立ち止まり、分析・総合しつつ読み進めます。
終わりの部分にいたったとき、全文章の全総合をしつつ、批判的思考を発揮して読み手としての意見・感想をまとめます。
第一読から精読をするという意味で〈一読〉、総合して読んでいくという意味で〈総合法〉と名付けられました。
日本語の
知識と能力を
伸ばす読み
ふつう私たちが本を読むときは、冒頭部分から詳しく読んでいきます。もう一度じっくり読み返すことを想定して、読むなんてことはありません。
推理小説で、犯人が分かってしまったのに、最初のページから詳しく読み直しても、一読目のときのような楽しさは得られないでしょう。
読書の楽しみは、じっくりと読み進めながら、すでに読んだ部分と今読んでいる部分を関係付けし、先の予測も立てつつ総合的に読み進めていくところにあると思います。その関係づけから新しい認識が芽生えたときの喜びが読書の醍醐味です。
子どもたちみんなにそんな喜びを味わわせ、一語一文に鋭く反応する力をつけさせるために考え出された読みの授業スタイルが〈一読総合法〉です。ですから、一読総合法では、通読をしません。
読みの授業の 基本過程 (ひとり読み)
まず、一人ひとりの読み手(この場合、児童や生徒)は、ことば一つひとつの意味・働きや語感をていねいにふまえ、表象・概念を喚起し、表現に即して読みます。
そのことばへの反応をプリントの教材文の行間に書き込んだり、プリントに用意された表の中に書き出したりします。これを(ひとり読み)と言います。
読み手が一人ひとり、自分発の読みを持つということです。
読みの授業の 基本過程 (話し合い)
〈話し合い〉とは、個別的である〈ひとり読み〉を他者の読みと重ね合わせたり、比べ合ったりして、作品の世界を学習者同士で、協同してより豊かな読みを生み出す学習活動です。
〈話し合い〉を通じて、読み手は多様な読みの視点を獲得します。〈ひとり読み〉の力を高めることにもなります。
どの作品を選び、どう教材化するのか?
「教科書に載っているから」ということもありますが、どの作品を教材にするのかというのは、とても大事なことです。基本的には、その作品を学ぶことで児童・生徒の「認識」(自然や社会、そして人間に対する認識)を育てられるかどうかがカギでしょう。
作品が決まったら、その作品を教材化するために、〈教材分析〉をします。子どもの行う〈ひとり読み〉と同じような感じで作品のコピーの行間などに、気がついたことをどんどん書き込んでいくのもいいでしょう。登場人物の気持ち・行動のわけ・予想・感想・表現の特徴・作者の書きぶり・作者の意図・作品のテーマ・説明文であれば使われているデータの吟味・論旨の展開に納得できるかどうかといったことも、書いてみましょう。子どもたちはどう読むのか、読みを予想してみることもいいですね。
そうやって、書き込んでみると、その作品の「何を」「どう」教材化するのか、ということがはっきりしてきます。
そうして、おぼろげに浮かんできたことを文章化します。その教材を指導するねらいもはっきりしてくるので、その教材を何時間で指導するのか、1時間分をどんなふうにすすめるのか、指導計画や指導目標も立てていきます。
その計画に合わせて、毎時間の教材プリントを作り、ようやく授業ができるということになります。